- リザードの革って何の革?
- リザード革の特徴やメリットデメリットはある?
- リザード革の経年変化はどんな感じ?
リザード革はトカゲの皮から作られるレザーです。トカゲといっても、日本の小さなトカゲと違い、大きいもので体長2mを超えるようなトカゲから作られます。
牛や馬など一般的なレザーと違い、数量が少なく希少なレザーです。買う前に情報を集めようと思っても、意外とリザード革の特徴や実際の取り扱いに関する情報はありません。
この記事では、リザード革の特徴や種類、経年変化など、買う前に知っておきたい情報を網羅的に解説します。この記事を読めば、リザードがあなたの求めているレザーかわかるでしょう。
リザード商品は素材が希少なため、商品も高額です。しかし、その価格に見合った魅力もあります。普通の革製品とは違う個性的なアイテムを持ちたい人にはおすすめできるレザーです。
- リザード革とは何の革?何種類あるのか
- リザード革の特徴とその魅力
- リザード革の加工方法や仕上げ
- リザード革の風水効果
- リザード革を使う人の印象
- 手入れや経年変化について
- リザードの希少性に関する話
リザード革の特徴や魅力を解説
- リザード革とはトカゲの皮から作るレザー
- リザード革の特徴と魅力
- 腹割り(ベリーカット)・背割り(バックカット)
- 仕上げの種類:グレージングorマット仕上げ
- リザードレザーと偽物の見分け方
- リザード革のデメリット
- リザード革の風水効果
- リザード革を使う人のイメージや評判
リザード革とは3種類のトカゲの皮からできる
リザード革とはトカゲの皮から作られるレザーです。トカゲといっても日本のちょろちょろ走り回るトカゲのイメージではありません。大きいものでは、体長2mを超える大型のトカゲの皮から作られます。
リザード革の原料となるトカゲは、以下の3種類です。
- リングマークトカゲ(ミズオオトカゲ)
- アフリカトカゲ(ナイルオオトカゲ)
- テジュー(テグー)
リングマークトカゲの特徴は、名前の通り背中にあるリング状の模様です。トカゲとしてはかなり大型、大きなものは体長2mを超えます。東南アジアに生息しており、現在日本で使われるものはインドネシア産とマレーシア産です。
アフリカトカゲは、リングマークトカゲとよく似ていますが、背中の模様がリングになっていません。サイズも同様に大きく2m近くまで大きくなります。
アフリカのナイル河流域に生息しており、日本にはあまり輸入されていない種類です。着色して、ウロコ模様だけを楽しむような加工がされます。
テグ―は南アメリカ大陸のアルゼンチンやペルーなどに生息するトカゲです。体長は1mほどでリングマークトカゲなどと比べるとやや小さいです。
体の大きさから、長財布やバッグではなく、時計のバンド等小さなものに使われます。大きなテグーは希少なため、テグーの財布は珍しいです。特徴は、クロコダイルのような大きな長方形の腹部のウロコ模様です。
リザード革の特徴と魅力
リザード革最大の魅力は、きめ細かい規則的なウロコ模様です。クロコダイル(ワニ)やパイソン(ヘビ)などの爬虫類レザーと比べてもウロコは小さめです。
エキゾチックレザーとして人気の高いクロコダイルは、ウロコ模様が大きくダイナミックな印象です。一方リザードのウロコ模様は小さく繊細な印象です。クロコダイルは主張が強すぎる…という人もリザードなら気に入るかもしれません。
価格面で言うと、リザードはエキゾチックレザーとしては意外と安価です。一般的な牛革よりは高価ですが、クロコダイルやコードバンのような高級革よりも安価に手に入ります。
それほど知名度のあるレザーではないため、流通量も少なく、持っている人もあまりいません。知る人ぞ知る個性的なレザーを探している人にリザードはおすすめです。
腹割り(ベリーカット)・背割り(バックカット)
リザードの革には腹割り(ベリーカット/フロントカット)と背割り(バックカット)があります。背中のウロコ模様を活かすためにおなか側から開いたものが腹割りです。その反対が背割りです。
リングマークトカゲの背中のリング模様を活かす場合には腹割りにします。テグーのおなかのウロコ模様を活かすなら背割りです。このような求めるデザインの違いによって使い分けています。
どちらを選んでも革の品質に違いはありません。デザインの違いだけです。
おなかの四角いウロコ模様と、背中にかけての丸いウロコ模様のグラデーションが好きなら背割り。背中のリングマークや一様な丸いウロコ模様が好きなら腹割りを選びましょう。
仕上げの種類:グレージングorマット仕上げ
リザードの表面仕上げは、グレージング仕上げとマット仕上げの2種類があります。違いは表面のツヤです。
グレージング仕上げは、メノウのような硬いローラーで圧力をかけて磨くことで、光沢のあるツヤを出す仕上げです。一方で、マット仕上げはバフ掛け(やわらかいブラシ)かけをすることで、落ち着いたツヤを出す仕上げです。
グレージング仕上げは宝石のようなツヤが出るため、高級感があります。マット仕上げはよりカジュアルな印象ですので、どんな服装でも合わせやすいです。
リザードの高級感を求める人はグレージング仕上げ。控えめな主張でさりげなく持ちたい人にはマット仕上げがおすすめです。
リザードレザーと偽物の見分け方
牛革の型押しという、リザードレザーの偽物があります。偽物といっても本革ですが、牛革にリザードのウロコ模様を型で押し付けたものです。型押しと本物にはいくつか見分けるポイントがあります。
ウロコ模様の繰返しパターンがあるものは型押しです。型を使うため、おなじ模様ができてしまいます。本物は自然にできたものですので同じにはなりません。
溝の深さが均一すぎる場合も型押しの可能性があります。型押しでは自然な溝の深さを再現することはできません。
ただし近年の型押し技術は非常に高くなっており、パッと見てわからないものも多いです。しかしきちんとしたブランドであれば素材に記載しています。型押しなら素材:牛革(型押し)、本物なら素材:リザードorリングマークトカゲと記載があります。
確実に偽物を避けるためには、信用できるブランドから買うようにしましょう。
リザード革のデメリット
リザード革のデメリットとして以下のような点が挙げられます。
- 素材が貴重で手に入りにくい
- 取り扱いブランドが少ない
- 水分に弱い
リザードのデメリットとして手に入りにくいというのが挙げられます。素材が貴重で売り切れのブランドも多いです。またそもそも取り扱いのあるブランドが少なく、選択肢もあまりありません。
一般的な牛革などと比べて少ないのはもちろん、クロコダイルやパイソンのような他の爬虫類と比較しても取り扱いは少ないです。デザインやカラーのバリエーションも限られてしまいます。
水分に弱いというのも注意点です。リングマークトカゲは和名ミズオオトカゲと名前の通り、水の中でも生活しているトカゲです。水辺の生き物のため一見水に強そうなイメージですが、他のレザー同様、水に弱いため注意する必要があります。
希少で手に入りにくく、選択肢が少ないという点が、リザードのデメリットといえるでしょう。
リザード革の風水効果
財布のレザーとしてリザードを選ぶ人も多いと思います。リザード財布に金運を高める風水効果があります。リザードやパイソンは脱皮を繰り返すため、お金が巡り巡って帰ってくるというのが理由です。
財布を選ぶ基準に、風水効果を気にする人は、リザードの風水効果を知っておくとよいでしょう。
リザード革を使う人のイメージや評判
リザード革の印象は、クロコダイルほどの存在感はないものの、個性的なレザーという印象です。主張が強すぎないという点は、人によってはむしろ好印象でしょう。
とはいえ個性的なレザーですので、やりすぎない範囲で持つようにしましょう。具体的には、財布だけ、時計だけにするなどワンポイントで活用するイメージです。リザードの革自体は美しいので、うまく活用すればかっこよくキマります。
爬虫類が苦手の人にとって、トカゲというと「えー…」となるかもしれません。しかし、レザーとなれば別です。ワニは好きじゃないけどクロコダイルを使っている人もいますし、牛革の製品に牛のイメージを重ねる人もいないでしょう。
リザード革を持っているからといって、悪い印象を与えることはありません。
リザード革の手入れ方法と経年変化(エイジング)
- リザード革の耐久性・寿命
- リザード革の手入れ方法とアイテム
- リザード革の経年変化
リザード革の耐久性・寿命
リザード革は軽量で、薄く、強度の高い革です。薄い革のため、リザードだけでは商品にならず、裏地には牛革を使います。
キチンと管理して使えば10年は使える耐久性があり、長年愛用できる革です。
水分や高い湿気はレザーの大敵です。長時間水につけると水が触れた部分が膨れて戻らなくなります。高い湿気はカビが生える可能性があります。
最近はエアコンなど普及などで、部屋で使う分には問題ありません。長期間保管する際に、風通しの悪い押し入れに入れないなど、保管場所には気を付けましょう。
リザード革の手入れ方法とアイテム
基本的な手入れは乾拭きです。乾いた布で汚れや水分を、気になるタイミングでさっと拭きとります。
乾燥が気になるときは、爬虫類用のクリームを使うのもよいです。サフィールノワールレプタイルクリームは、爬虫類専用のクリームです。一般革用と違い、水分が少なくウロコの溝に染み渡りやすい特徴があります。
注意点として、グレージング仕上げの場合、クリームを使いません。ツヤがくすんでしまう原因になります。マット仕上げで、乾燥が気になるときにクリームを使います。
グレージング仕上げのものは基本乾拭きです。ツヤが失われてきたときに、ツヤ再生を行っているメーカーもあります。もしツヤを戻したい場合は、購入したブランドに確認してみてください。
リザード革の経年変化
リザード革は経年変化も楽しめます。表面の仕上げによって経年変化の具合も変わります。グレージング加工の経年変化は、落ち着いたツヤへの変化です。マット仕上げは反対に、経年変化でツヤを増していきます。
実際の経年変化のビフォーアフターを紹介します。
こちらのRe-Boneさんのページでは実際に使用された財布のビフォーアフターの写真を紹介されています。
リザードは経年変化も楽しめる魅力的なレザー
- リザード素材はほとんどが野生
- リザードはワシントン条約で保護されている
- 日本製リザードにはJRAタグ
リザード素材はほとんどが野生
リザードは魅力的な素材ですが、希少で手に入りにくいのが難点です。しかしこれには理由があります。
素材となるトカゲに野生のトカゲを使用しているからです。野生のトカゲから原皮をとるため、安定供給が難しく流通量が多くありません。
クロコダイルも希少なレザーですが養殖に成功しており、比較的安定して供給されています。近年では50ton(50,000kg)/年程度輸入されています。日本に輸入されるリザードとクロコダイルの量を比較すると、リザードの方が少ないです。リザードは近年100~500kg/年程度の輸入量になっています。
もちろん需要と供給のバランスもあり、単純な輸入量で希少性は測れません。しかし野生で安定して供給できないというのがリザードの希少性の理由の一つです。
革として輸入されるものには、原皮、クラスト革、着色した仕上がり革の3種類があります。クラスト革と仕上がり革はなめした後の革です。グラフの輸入量は、原皮の輸入量です。実際にはクラスト革、仕上がり革も輸入されているため、本当の輸入量はもう少し多くなります。量としては原皮と同じか少し多い程度です。
リザードが加工後の革で輸入される理由は、原産国の一つインドネシアが原皮での輸出を許可していないからです。国内の加工産業を守るためといわれています。ワニ革は輸入量の25%くらいがクラスト革、仕上がり革です。
リザードはワシントン条約で保護されている
リザードはワシントン条約で保護されています。リングマークトカゲやアフリカトカゲはCITES付属書IIに分類され、輸出国の許可証がないと輸入できません。
ワシントン条約では3つのレベルで分類され、付属書IIは2番目に厳しい制限です。付属書Iの動物は商業的な輸入が禁止されています。パンダやゴリラは付属書Iです。
リザードはこのように煩雑な輸入手続きが必要なため、流通量も少なくなっています。
日本製リザードにはJRAタグ
JRAタグとは「全日本爬虫類皮革産業協同組合(全爬協)」が発行するタグです。JRAタグはJRA認証を受けた商品につけられます。JRA認証はワシントン条約にのっとり輸入されたエキゾチックレザー(ワニ・トカゲ・ヘビ革など)を用いて、日本で製造された製品の認証です。
JRA認証は厳しい基準をクリアした商品にしかつけることができません。認証メーカーの名義貸しなども当然禁止されていますので、信頼性も高いです。
JRAタグの付いた商品は全て本物の日本製リザード革製品と思って間違いありません。
リザードの革は魅力的で経年変化も楽しめる
- リザード革とはトカゲの皮で、3種類のトカゲから作る
- リザード革の特徴は細やかなウロコ模様と美しいツヤ
- リザード革にはグレージング仕上げとマット仕上げがあり、表面のツヤが違う
- リザード革には腹割りと背割りがありどちらのウロコ模様も楽しめる
- リザード革には金運効果もある
- リザード革を使う人に悪い印象はない
- きちんと手入れすれば長期間使える、経年変化で落ち着いたツヤへ変化する
- リザードはクロコダイルやパイソンに比べても流通量が少ない希少なレザー
リザード革は爬虫類の革の中でも珍しいレザーです。クロコダイルやパイソンと比べて、小さく細やかなウロコ模様が美しいです。希少性が高いため、あまり流通しておらず選択肢が少ないのが唯一のデメリットといえます。
一方希少な割には比較的価格はお手頃です。一般的な牛革よりは高価ですが、クロコダイルやコードバンなどの高級革と比べれば安価に手に入ります。
爬虫類の中でも主張が小さい方なので、あまり強い印象を与えず、カジュアルにも持てます。また持っている人も少なく、誰かと被るということもありません。
クロコダイルはちょっと手が届かない。けど誰とも被らない個性的なレザーを探している。こんな人にリザードはおすすめのレザーです。